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2019.09.30

THINK OF SONGS #18:今日のノルウェー実験音楽 | Christian Wallumrød & Kim Myhr

台風19号の影響のため、当イベントは中止となりました。
ご購入済みのチケットの払い戻しにつきましてはお求めいただいた方々に随時ご連絡を差し上げております。
当日券の発売もございません。
ご迷惑をおかけして申し訳ございませんがご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

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THINK OF THINGSのコンサートシリーズ第18回は、ジャズ&エクスペリメンタル・ミュージックの極北ノルウェーより、その中核を担う二人の音楽家を招きます。ヨーロッパの名門ジャズレーベルECMHubroからリリースする彼らの先鋭的なサウンドをじっくりご堪能ください。

クリスティアン・ヴァルムルーキム・ミール。近年のノルウェー実験音楽シーンにおける最も重要な作曲家であり演奏家であるふたりの最新プロジェクトが日本初公開となるツアー。ジャズの地平からエレクトロニック・ミュージックの可能性を切り拓く、最新の"アシンメトリック・アヴァンギャルド・テクノ"を決して見逃すな!

『 THINK OF SONGS #18:今日のノルウェー実験音楽 | Christian Wallumrød & Kim Myhr 』
 ・日時:2019年10月13日(日)18:00開場/18:30開演
 ・会場:TOT STUDIO( THINK OF THINGS 2F
 ・料金:2,500円(コーヒー付/予約優先)
  *決済後にチケットを譲渡される場合はこちらをご確認ください。
 ・出演:クリスティアン・ヴァルムルーキム・ミール
 
・音響:Flysound

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<元WIRED日本版編集長、黒鳥社コンテンツディレクター・若林恵による推薦コメント>

『スローでオーガニックなノイズ』

ノルウェーは、知られざるジャズ先進国として知られているところでは知られているけれど、それもかなりヨーロッパのジャズに通じた人の間での話だろう。ジャズのなかでもヨーロッパジャズはすでにしてニッチなところ、それをさらに絞り込んでノルウェーと言われてもねえ。ピンと来なくても致し方ない。とはいえ、だからといってノルウェーがジャズ先進国だという事実が消えてなくなるわけではない。

ドイツの名門レーベル「ECM」が、ある時期までホームグラウンドしていたレコーディングスタジオは「レインボースタジオ」というところで、実はこれがノルウェーのオスロにある。そんな機縁からオスロは、ECMで作品を発表する一流アーティストが頻繁に訪れる街となってきたわけだが、些細なことのようで、こうした施設が街もたらす効果は、経済効果では計り知れないものがある。というのも、ECMが、とりわけ90年代以降、世界では全く無名のノルウェーの俊英たちにいち早く目をつけ世界に向けて発信することができたのも、こうした機縁と決して無関係ではないはずだからだ。

また、2000年頃を境に、国や公的なファンドが積極的にジャズを支援するようになったことで、「ジャズ」はノルウェーにとって、地味だけれども重要な文化資産・外交資産として位置づけられるようにもなっていき、世界各地でアーティストが公演を行うことを外務省などが積極的にサポートしている。
https://www.npr.org/sections/ablogsupreme/2013/03/26/175415645/how-norway-funds-a-thriving-jazz-scene

ノルウェーの面白いのは、自分たちの強みが、どういうわけかジャズのなかでもだいぶ先鋭的な「即興音楽」にあると早々に見て取ったことで、国家として、そんな一番ニッチなところにフォーカスをあてて支援したらそりゃ多くの人にはもちろん届かないわけだが、とはいえ、アメリカ勢、英国勢が圧倒的な物量をもって圧するマーケットに打って出ることの愚かさを思えば、ニッチなれど明確にポジションを築くことのできるマーケットにフォーカスするのは小国の戦術としては悪くはない。

「アメリカのモノマネのような商品をつくってグローバルマーケットに売って出たところで、アメリカ人がそんなもの聴くわけないじゃん」てなことを、いつだかアイスランドの音楽関係者に言われたことがあるが、さもありなん。他の世界のどこにもないようなオリジナリティがあってこそ、たとえ小さなマーケットであっても世界で商品力をもてるわけで。

というわけで、ノルウェーはヨーロッパのフリージャズの伝統を、なんとも独自のやり方で更新することで不思議な音楽世界を世界に向けて誇ることとなった。音の多様性においても、電子音楽から、テクノ、シューゲイザー、アンビエント、フォーク、古楽まで、多種多様なジャンルを自在に異種交配させながら絶えず実験を繰り返してきた蓄積には目をみはるべきものがある。聴いたことのないサウンドを生み出す苗床=インキュベーターとして、ノルウェーは、少なくともこの20年間、休みなく更新をし続けてきたように見える。

1971年生まれのピアニスト、クリスチャン・ヴァルムルーは、そんなノルウェーの音楽シーンの面白みを体現してきた異才だ。同い年ということもあって、ずっと気にしてきたアーティストでもある。ワイルドなフリーエレクトロものから、静謐と呼ぶにふさわしいトリオ作、楽器同士の響き合いやテクスチャーにフォーカスしたアンサンブルもの、母校トロンハイム音楽院の精鋭とつくりあげたアンビエント感のあるビッグバンドものなど、出す作品出す作品ちょっとずつ趣向が変わり、いつも飽かずに驚かせてくれる。それでいて、変に小難しさもないのが、この人の音楽のチャーミングなところだ。

ヴァルムルーの音楽は、小さなメロディの断片が、さまざまな楽器=音色の組み合わせのなかで、色や肌触りが少しずつ変化していく、その響きの微妙な移ろいを描きだしていくところに、その興味の焦点があるように感じられる。だから、聴く側は、あまり難しいことは考えずに、その色彩やテクスチャーを耳で追いかけていればよいというような音楽だ。フリーでアバンギャルドと言えなくはないのだけれどもどこかスローでオーガニックだ。

今回ともに来日するギタリストのキム・ミールも、似たような意味で響きにフォーカスのあるアーティストで、ヴァルムルーとの共演はなるほどとうなづける。しかも今回の来日では、ヴァルムルーはピアノを弾かずにエレクトロニクスに専念というから、無限ともいえる響きのパレットのなかから、当意即妙のインタープレイのうちに、どんな色やサウンドテクスチャーが紡ぎ出されることとなるのか興味はつきない。

ノルウェーの電子音楽の第一人者で、英国在住の世界的作曲家の藤倉大さんとも交友の深いヤン・バンは、先に挙げた記事のなかで、こんなことを語っている。

「ミュージシャンが電子機器をつかって即興を行うのはいいことだと思う。それはミュージシャンを必ずしも快適ではない状況に置くことになるので、創造力を使ういい訓練になる。とくにジャズの即興っていうのは、どこまでが本当に即興でどこまでがマイルス・デイヴィスやコルトレーンから盗んだフレーズなのかわからなくなってくるから、電子機器を使うのは即興音楽のいい手法なんだ」

若林恵|黒鳥社コンテンツディレクター




Christian Wallumrød | クリスティアン・ヴァルムルー (左)
<ドラムマシン、シンセサイザー、エレクトロニクス担当>
静謐でメロディックな自身のアンサンブルChristian Wallumrød Ensemble、同郷のバンドHuntsvilleのメンバーらと結成したDans Les Arbesなどのグループで、今年60周年を迎えるレーベルECMや、ノルウェー発の先鋭ジャズを手がけるHUBROから多数のアルバムをリリース。世界中をツアーでまわる一方で、3台のピアノを用いたプロジェクトBrutterをはじめ、ダンス、映画などさまざまな領域を横断する実験的なパフォーマンスも精力的に手がけている。

Kim Myhr | キム・ミール (右)
<12弦ギター、エレクトロニクス担当>
作曲家として室内楽グループなどへの楽曲提供を行うほか、エレクトロアコースティックやパフォーミングアーツなど、表現の幅は多岐にわたる。これまでに「All Your Limbs Singing」(SOFA)、「Bloom」、 「You | me」(ともにHUBRO)と3枚のアルバムをリリースし、ヨーロッパを中心に高い評価を獲得した。また、近年は現代音楽アンサンブルAustralian Art Orchestraや、カナダのストリングスカルテットQuatuor Bozzini、ノルウェーのTrondheim Jazz Orchestraのための楽曲を制作している。


2020年にHUBROよりリリース予定の最新音源はこちら


主催/企画制作:THINK OF THINGS
共催:blkswn

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