ANB TOKYO

東京アートアクセラレーションが運営するANB TOKYOの外装・インテリアデザインを担当。コンセプトは「functional dismantling(機能的解体)」

text: Hisashi Kano

2023.2.20

新設のアート財団(東京アートアクセラレーション)の拠点として六本木にアートコンプレックス施設を計画。 施設名はALTERNATIVE BOXの頭文字をとってANB TOKYO。 対象になった建物は、六本木の交差点から程近いカラオケボックスのビルであり、その施設内にギャラリー/支援アーティストのスタジオ/ブックラウンジ/レンタルシェフズテーブルをフロアごとに展開する計画でした。 ALTERNATIVEという言葉から着想し、つくりあげるアプローチではなく、引き算をしていきながらこの施設特有の個性を表現していこうと考えました。

コンセプトは「functional dismantling(機能的解体)」。 まず既存の建物に付随している構造物を解体していきながら、アート施設にとってのファンクションを生み出すことに。まず、ファサードはカラオケボックス特有の光輝くライトボックスであったが、そのフレームだけを残して施設サインや照明を取り付け、フレーム自体は解体した際に出てきた錆止め塗料の色で統一して塗装しました。

内部については、2Fから7Fをアートコンプレックスとして専有し、2Fをアートブックラウンジとしました。解体中に露わになった断熱材の色をこのフロアのテーマカラーとし、フロアの象徴としてのシェルフに展開。解体して露わになった仕上げとイエローのコントラストが気持ちのいい空間に。

3Fはホワイトキューブとしてのギャラリー、4Fは解体したままの状態のギャラリー。アーティストによって場所を選べるようになっています。

5Fは元厨房であったことから、レンタルシェフズテーブルとして漆黒のフロアとし、ブラックミラーの壁面とフルカラーの光で演出性の高いキッチンとしています。

6/7Fはアーティストに場を提供するスタジオであり、解体して露出した天井のフレームを整理し、照明やアート作品を吊る機能として残しました。 機能的解体により各フロアに機能はあるものの、フロアをつなぐギャラリーが展開され用途を超えた施設の使い方が実践されています。 解体と少しの味付けにより各フロアに個性をもたらすというアプローチを全フロアに展開したことで、オルタナティブな活動をする受け皿として実践できているのではないかと思います。

〇ANB TOKYO WEB サイト https://taa-fdn.org/ 〇プロジェクト概要 プロジェクト名:ANB TOKYO 所在地:東京都港区六本木5丁目2−4 開業日:2020.10.11(2022.12閉館) プロデュース内容:外装/インテリアデザイン 納入商品:図工椅子/図工椅子シェルフ

YOHAK DESIGN STUDIOは、スペース/プロダクト/グラフィック/サウンド&ヴィジュアル/などの様々なエレメントを縦横につなげて、これからのスタンダードをつくるデザインコレクティヴです。