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Mitosaya


溶け込んだ香味と、小さなボトルを愛でる

Text : Mai tsunoo / Photo : Masaki Ogawa

2023.11.30

家具から文具まで、いろいろな収納用品を作ってきたコクヨが、新しい収納のあり方を考えます。 これにぴったりの形の棚板があれば。壁に合わせて、自由にサイズが選べるならば。収納には、悩みがつきものでした。 もっと自由な収納を考えるために、私たちはさまざまな職業の人々が日々使う道具や素材、そして収納用品を観察し、その人のためだけの、新しいシェルフを設計しはじめました。 仕切りメーカーが用いる緩衝素材の、軽量で防水(防油)であること、プログラミングで一つひとつ異なる加工が可能であること、という特性をいかし、大型でも壁にかけられ、室内外で使えるオーダーメイドシェルフを考案しました。サイズオーダーから、フルオーダーまで、多様な要望に応えられます。 コンピューターの前にいる時間が長くなった現代だからこそ、 姿形のある「モノ」のもつ価値を再確認し、収集によろこびを覚える人も少なくありません。モノと人、そして空間との、新しい関わり方のケーススタディです。

溶け込んだ香味と、小さなボトルを愛でる Mitosayaでは、植物や果物から「命の水」を意味する蒸留酒「オー・ド・ヴィー」を作っています。このオー・ド・ヴィーのボトルと、その味わいや香味のもととなった、薬草園内で栽培された植物や日本全国の果実を、標本のように並べるためのシェルフです。

棚板に乗せても、一つひとつのセットをトレイのように取り出しても使える2Wayタイプとして設計しました。棚ではそれぞれのボトルが浮遊しているように見えてラベルデザインが引き立ち、取り外してテーブルなどに水平に並べれば、ハーブやフルーツ、スパイスなどをじっくり観察できます。 サイズ:W850 x D238 x H42 mm

プロフィール mitosaya 薬草園蒸留所
 南ドイツの蒸留所、Stählemühle(ステーレミューレ)で蒸留家クリストフ・ケラー氏の元で蒸留技術を学んだ江口宏志が、2018年にオープンした蒸留所。千葉県大多喜町に位置する薬草に特化した植物園を改修し、敷地内で栽培している植物と、日本全国の優れた果実などを原料に用いて蒸留酒「オー・ド・ヴィー」を主に生産している。
果物や植物の魅力を純度高く、香り豊かに引き出すために、加工にかける手間を惜しまない製法で蒸留酒やプロダクトづくりを行っている。
 mitosaya.com

CASES STUDY 企画:大野友資、角尾舞、THINK OF THINGS 設計/デザイン:DOMINO ARCHITECTS、THINK OF THINGS 製造:イワキパックス コピーライティング:角尾舞 写真:小川真輝 アートディレクション:佐々木拓 グラフィックデザイン:石暁君

CASES STUDY

見せる収納から、愛でる収納へ。集めているもの。揃えているもの。眺めていたいもの。似ているけれど、ちょっとずつ違うモノたち。さまざまな職業や会社に特有の、彼らが収集しているモノに注目し、並べて、使って、ときに眺めるためのオーダーメイドシェルフを作ります。スチールでも木材でもない、軽くて防水の緩衝素材は、業務用に使われる仕切りメーカーの部材を応用しました。「かざる」と「しまう」の隙間を探る、コクヨの新しいリサーチプロジェクトです。