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MOUNTAIN COLLECTOR

Text: Amane Hosaka / Photo: Leo Arimoto

2024.9.28

THINK OF THINGSの入り口にあるポップアップスペース“CASE”では9月19日(木)から、山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクト「MOUNTAIN COLLECTOR」のポップアップイベントを開催しています。 今回のポップアップイベントに併せて、MOUNTAIN COLLECTORを手がける山岳収集家の鈴木優香さんに、プロジェクトの経緯やプロダクトについてお聞きしました。

ーMOUNTAIN COLLECTORというプロジェクトをはじめた経緯について、教えてください。 MOUNTAIN COLLECTORは、山で見た景色をハンカチに仕立ててゆくプロジェクトです。登山と撮影、テキスタイルの制作を繰り返しながら、自身の山行記録を残しています。 大学卒業後にデザイナーとして勤めていたアウトドアメーカーからの独立を機に、それまでずっと好きだった布という素材と、写真、山の全てを組み合わせた何かを作りたいなという思いからこのプロジェクトを始めました。山登りを始めたのは2011年の大学ゼミの一環で山小屋へ訪れたのがきっかけで、その後アウトドアメーカーに就職したことで本格的に山登りをするようになりました。 独立した際にデザイナーや写真家という肩書きも考えましたが、山の美しい瞬間を写真として撮り集めることが活動の一番の目的と思ったときに「山岳収集家」という言葉が頭に浮かび、これを使っていこうと決めました。

ー鈴木さんにとって山での時間はどんな時間ですか 辛い山登りもありますが、この山に来なければよかったと後悔したことは一度もなく、不思議なことにまた山に行きたくなります。日頃のやらなくてはいけないことや、あるべき自分の姿、いろんなしがらみを持っていても、山では風の気持ちよさや、日のあたたかさから、原始的な喜びのようなものを感じられる気がします。私にとって山とは、忘れかけていたことを思い出させてくれる、そんな場所だと思います。 はじめは山に登ることに精一杯で余裕がなかったのですが、少し慣れてきた頃からフィルムカメラを持って山にいくようになりました。撮影枚数の限られるフィルムカメラは、山登りとの相性がとてもよく、山の美しい瞬間をじっくりと感じ見つめながら撮影をしています。山の中で写真を撮っている時間というのも好きな時間です。

ー今回のポップアップに併せて制作した測量野帳やハンカチについて教えてください 今回は三種類の測量野帳をつくりました。 山の景色の中で白い雪の上に、小さな枝や葉っぱがパラパラと落ちている時があるのですが、その様子がとても好きで、写真に撮った中から枝を一つ選んで描いたものを測量野帳に箔押ししました。収集するのが好きなので、普段から海岸に行ったら石を必ず拾いますし、山に行ったら、木の実や葉っぱ、枝を拾います。特に枝は形も好きですが、落ちていて拾えるところがいいなと思います。またこの枝の絵が鹿の角のように見えたり、絵をひっくり返すと山とその影にも見えたので、2色の測量野帳に枝の配置を変えてそれぞれ箔押ししました。 もう一つの「EVERYTHING IS BEAUTIFUL IN THE MOUNTAINS」という言葉は、山を歩きながらいつも大切にしている言葉です。一般的には山頂から遠くの山が見えたり、夕日が見えたら綺麗だと言われますが、例え霧で景色が見えなくても、必ずどこかに綺麗なものがあると思っています。 今回のポップアップで販売するハンカチは、秋の山の景色をメインに、10種類を用意しました。THINK OF THINGSのポップアップイベントにて、ぜひ澄み渡る山の空気を少しでもみなさまに感じていただけたら幸いです。

デザイナープロフィール 鈴木 優香(すずき ゆか) 山岳収集家。東京藝術大学大学院修了後、アウトドアメーカーの商品デザイナーを経て独立。現在はライフワークとして国内外の山を巡りながら、道中で出合う美しい瞬間を拾い集めるように写真に収めている。 POP UP SHOP「MOUNTAIN COLLECTOR」 日時:2024年9月19日(木)〜10月8日(火) 場所:THINK OF THINGS 1F CASE ※ご好評につき会期延長いたします。 website:www.mountaincollector.com Instagram:mountaincollector

CASE Q&A

TOTのCASEで開催されるポップアップショップやイベントの参加ブランド・アーティストをより深く掘り下げる一問一答インタビュー。ものづくりのコンセプトやその背景、想いを探り、気付きを得られるようなインタビューをお届けします。