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published by collé

Text: Amane Hosaka / Photo: Leo Arimoto

2025.5.12

THINK OF THINGSの入り口にあるポップアップスペース“CASE”では、5月1日(木)からデザインスタジオcolléが手がけるプロダクトブランド「published by collé」のポップアップ「Little Pick-Me-Ups」を開催しています。今回は、published by collé代表、グラフィックデザイナー山口崇多さんに、ブランド名の由来や商品についてお聞きしました。

ーブランド立ち上げの経緯と、山口さんのデザインスタジオ/ブランド名である「collé」の意味や由来を教えてください。 以前からフリーデザイナーとして仕事を始めるときは、受注仕事だけではなく自分でも商品を作って売りたいなと思っていました。前職の10inc.代表 柿木原さんが作っていたカードゲーム「Rocca」や柿木原さんが所属されていたDRAFTのブランド「D-bros」など、いろいろと身近で拝見していたこともきっかけの一つかもしれません。 いざ独立して1年ぐらいはなかなか大変で商品をつくる余裕がなかったのですが、2022年ごろにプロダクトブランド「omise」を始めました。(2025年にpublished by colléに改称) collé(コル)は、フランス語で「接着剤」という意味です。クライアントと自分を合わせるような、何かと何かをくっつけてひとつのものを作るといった意味を持たせています。加えて、日本語のこだわるという意味を持つ「凝る」と「collé」を掛け合わせこの名前にしました。 実は、私の両親がフランスで絵画を学んでいたという背景があり、私の名前「崇多(あがた)」もフランスの本のタイトルが由来になっています。その影響もあって、会社名をはじめ、商品名にもフランス語を使うことが多いかもしれません。 また、前職の会社名にも影響を受けて、個人的に二文字くらいの名前がちょうどいいなと思い、「collé(コル)」という名前に決めました。

ー定番商品の枯れないお花「BLOOM」が生まれたきっかけはなんですか? また、BLOOMの形をどのようにデザインしているのか気になります。 ブランドを始めた当時はコロナ禍ということもあり、外に出かけるよりも家でゆったり過ごす「おうち時間」という言葉がよく使われていたような時期でした。部屋に飾るオブジェが注目されていたり、犬や猫を飼っているために生花を飾れないという話を耳にしたりする中で、「こんなものがあったらいいかも」という漠然としたイメージが、木でできた枯れないお花「BLOOM」として形になりました。北欧の郷土玩具に見られる素朴な造形からインスピレーションを得つつ、自由な発想で花の形をデザインしています。どちらかというと抽象的で、見る人の記憶の中にある花のイメージと自然につながるような形を目指しており、紙に鉛筆で描いたスケッチをもとに製作を行っています。

ー今回のポップアップで販売する商品について教えてください。 今回は、THINK OF THINGSさんのポップアップ限定で、ブルー、シルバー、グレーの三色を使った「BLOOM」を販売しています。通常カラーのBLOOMでは実現できない組み合わせで、ブルー系で爽やかにまとめたり、シルバーで統一して近未来感を演出したり、洗練されたコーディネートを楽しんでいただけたらと思っています。 また、THINK OF THINGSの専門道具セレクション「Found Tools」より、本来機械部品として使用される「コイルスプリング」を花器に見立て、BLOOMと合わせて展開しています。BLOOM本体の色を変えるというのはこれまでも頻繁に行っていましたが、BLOOMを立てる花瓶的な部分をコイルスプリングで置き換えるというのはとても新鮮で、THINK OF THINGSさんならではの発想だなと思いました。 さらに今回のポップアップでは、新作「POSTER KUN」と「Combined VP」が初お披露目となりました。 「POSTER KUN」は、去年いただいたJAGDA新人賞の展示ブースで使用していた什器を小さくして商品化したものです。クライアントにデザイン提案の際使用する、完成イメージの合成画像(モックアップ画像)が発想のもとになっています。「POSTER KUN」のように、デザインを手で持っている人のイメージ画像が一時期流行りまして、それを木で作って立たせたら面白いかなと思って作りました。ポスターは壁に貼ったり額に入れたりして扱うのが普通ですが、マネキンに服を着せるような感覚でポスターを飾ることができるオブジェです。 「Combined VP」は、「何かを理解する際は、異なる視点から観察して全体像を把握した方が良い」ということをなんとなく体感して教訓にするためのオブジェです。家の鍵をかけたり、お気に入りの帽子を保管するスタンドとしても利用できる形です。 「BLOOM」販売以来、紙ものやハンカチなどの布ものを作ることが多かったので、今回は「POSTER KUN」や「Combined VP」を作りました。グラフィックデザイナーですが、今後のpublished by colléではよりプロダクト的なものを作っていきたいなと思っています。椅子のデザインなどにも挑戦してみたいですね。 ぜひ、店頭までお越しください!

POPUP 「Little Pick-Me-Ups」 日時:2025年5月1日(木)〜5月20日(火) 場所:THINK OF THINGS 1F CASE 山口 崇多 1988年生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。10 inc.を経て2021年にcollé(株式会社コル)設立。 明るいグラフィックデザインをモットーに、企業のCI・VI開発、ブランディング、パッケージデザイン、サイン計画、アートワークの提供に取り組む。 自社ブランド published by colléでは、多岐にわたる分野で表現の探求を行う。JAGDA新人賞2024受賞。 published by collé Website collé inc.:https://www.colle.co.jp/ onlinestore:https://publishedbycolle.com/ Instagram:@published_by_colle Found Tools:職人のための機能や特定の目的のために作られた専門性の高い道具の数々を、YOHAK DESIGN STUDIO ならではの視点で見立て直すリサーチプロジェクト。 Found Tools一覧はこちら:https://think-of-things.com/

CASE Q&A

TOTのCASEで開催されるポップアップショップやイベントの参加ブランド・アーティストをより深く掘り下げる一問一答インタビュー。ものづくりのコンセプトやその背景、想いを探り、気付きを得られるようなインタビューをお届けします。