CASE Q&A imprint
THINK OF THINGSの入り口にあるポップアップスペース“CASE”では、1月15日(木)より大分県大分市の印刷会社、高山活版社によるプロダクトブランド「imprint(インプリント)」のポップアップを開催しています。今回は高山活版社の高山英一郎さん、高山香織さん、クリエイティブディレクターの井上龍貴さん、デザイナーの小林一毅さんに、ブランドや今回のプロダクトについてお聞きしました。
ー 2025年11月にリリースされた「imprint」とはどのようなプロダクトブランドでしょうか。 高山さん:私たち高山活版社は2020年に更新したミッションのなかで「印刷という文化の火を灯し続けていく」ということを掲げました。年々印刷物が減りゆくなか、「これからも印刷物を作り続け未来の世代に残していきたい」という想いで立ち上げたのが『imprint』です。 印刷物の魅力とは何なのか?これからの時代にどんな印刷物であれば残っていくのか?を日々問い続け、それをデザイナーとともに形にしていきたいと思っています。その答えのひとつがこのブランドであり、具体的にはデザイナーと共同で商品を制作・開発し、ともに新しい販路を開拓していくというものです。『imprint』で生まれた商品を世界に届けることで、私達の存在とものづくりをたくさんの人に知ってほしいと願っています。
ー imprintという名前の由来が気になります。どのような意味や想いが込められているのでしょうか。 井上さん :創業116年を迎える高山活版社がこれまでひたすら続けてきたこと、それを下支えにしてこれから繋げていきたいこと、その2つを結ぶためにブランドのコンセプトを考えていきました。2つに共通することは「印刷の文化を紡いでいく」ということでした。高山活版社の印刷に対する姿勢は、人知れず淡々と、誰かのための、何かのためのものづくりをしている毎日の積み重ねそのものでした。誇るべきことではあるけど、決してひけらかすわけでもない。そうして綿々と紡いできたもの自体がブランドになるべきだと考えて言葉を探しました。 imprintという単語自体には、「押してできた印、印影、跡、痕跡」といった意味があります。印刷会社として長い間、様々な情報やデザインを印刷してきたこれまでの痕跡や足跡も頼りにして、自分たちが信じるものをこれからも印していく。日々の積み重ねの先に高山活版社が印刷の文化を紡いでいけるようにと願いを込めてこの名前をつけました。また、願いとは別に自分たちこそが印刷を次に繋げていくという意思表明にもなるように、作り手・印刷会社・使い手・はたまた印刷物自体にとって、このブランドが自分ごとのように考えてもらえるように「私」が重なることを想像して、I'm+printとなるようになっています。
ー今回のポップアップで販売する「蒐集箱」とはどのような箱でしょうか。 小林さん:落ち葉や小石に限らず、子供と暮らしていると毎日いろいろなものが溜まっていきます。子どものものは捨てたくない一方で、自分自身のものはできるだけ整理をして、時には手放して子どものものを入れるだけのキャパシティを保とうとしています。自分自身のものの整理をしていく中でしまい勝手の良いような箱を作ろうと考えたのがきっかけでした。一方でしまい勝手の良さだけでなくて、箱のスケール感や佇まいを考えると段々と勝手の悪さも顔を覗かせてくるのが難しいところですが、そのちょっと意地悪なところも含めてものとの対話なのだろうと思って、そのままに今の箱が出来上がっています。 子どもは道端や公園で落ち葉や小石、どんぐりをよく拾ってきます。我が家ではビニール袋に入れられたり、使い終わった味付け海苔の箱に入れられたりして保管されるのですが、子どもたちにとっての収集は煩雑であるように見えて本人の中には明確な基準があるようにも、強いこだわりがあるようにも感じられます。これは子ども、大人に限らず集めることは本人にとってだけの基準がそれぞれに宿っているということを考えたら「収集」というよりは「蒐集」といいたいと思ってこの名前にしました。
ーimprint として最初のプロダクト「蒐集箱」の制作において特にこだわった点や試行錯誤した点があれば教えてください。 高山さん:当初は黒1色のデザインだったのですが、展示予定の福岡の会場を小林さんと一緒に実際に見に行ったことがきっかけで、黒ではなく明るめの色を使って表現をすることになりました。少しざらっとしたNTラシャという綺麗な色の特殊紙に、数種類のインクを混ぜ合わせて小林さんが希望される色を特色で作りあげ、オフセット印刷で1色刷りしています。通常の白い紙でも印刷部分は紙の色が透けるため発色に影響を与えますが、緑やオレンジなど色のついた紙はその色がインクと重なることで白い紙に比べるとさらに発色に影響が出ます。そこを考慮した上で、10種類ある蒐集箱のための10色を紙の色に合わせて表現することが一番難しかったです。 私たちとしてはここまで色作りを大切にした箱なので、ものとしての仕上がりにおいてもユーザーが手にした時にその精度が伝わるようにと、角になる部分の芯紙をV字型に削って折ることで角が綺麗にでる『Vカット』仕上げにしました。ご協力いただいた長崎県のパッケージ総合メーカーである岩嵜紙器さんとは仕上げ加工について何度も打ち合わせや試作を重ね、さらに制作現場を見学させてもらったことで、美しい箱ができ上がりました。 ーこんな人に手に取ってほしい、または使い方や楽しみ方の例などありましたら教えてください。 高山さん:一つ一つの作品が、家族と過ごす日常の時間をひとりのグラフィックデザイナーとして小林さん自身の手で丁寧に書き起こしたものであり、どの蒐集箱のデザインも生活と制作が切り離されることなく形になっています。 箱はもともと物を入れたり隠したり保存したりするための道具ですが、毎日自分が過ごす空間のインテリアの一つとして飾って人に見せてみるなど、ぜひそれぞれのやり方で楽しんでもらいたいです。 どんなふうに箱を使うか?箱がどんなふうに変化していくか?その物語や時間も含めて楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。
ーブランドリリース直後ではありますが、今後「imprint」として挑戦していきたいことなどありましたら教えてください。 井上さん:ブランド名を体現するように印刷という表現の中でどんな足跡を残していけるのか、パートナーとして一緒に隣を歩きながら探していける作り手の方とプロダクトを作っていけたらと思っています。 まずは高山活版社の工場に訪れてもらって印刷に触れてもらうことから始めたいので、短期でも良いので工場でアーティストインレジデンスも試してみたいと考えています。ぜひ我こそはという方はぜひお声がけください!たくさんの方と関わり合いながらブランドを育てていけたらと思っています。 POPUP「imprint」 会期:2026年1月15日(木)〜 2月3日(火) 場所:THINK OF THINGS 1F CASE 小林一毅 グラフィックデザイナー。1992年滋賀県彦根市生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業後、資生堂を経て独立。女子美術大学、多摩美術大学非常勤講師。 Instagram:@kobayashi.ikki 高山活版社 website:https://takayama-printinghouse.jp/ Instagram:@imprint_tp @takayamaprinting








